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村山由佳のお勧め作品『星々の舟』紹介:従軍慰安婦の闇を知る

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村山由佳さんは主人がこの本「星々の舟」を買ってきて初めて存在を知ったので、作品を全て知っている訳ではありません。でも村山由佳さんと知らずにもう1つ知っている作品がありました。それは「おいしいコーヒーのいれ方」です。この作品はNHK-FMの青春アドベンチャーでラジオドラマ化されています。私もラジオドラマを聞きました。少年が年上女性を好きになるドキドキなラブストーリーでした。この「星々の舟」を書いた作者と同じ人だとは思いませんでした。

村山由佳さんはいくつか賞を取っていますが、この「星々の舟」は第129回直木賞を受賞しました。
「星々の舟」の読後感は決していいものではありませんでしたが、10何年も前に読んだのに今でも忘れられない作品となっています。

 

「星々の舟」の印象的なストーリー

物語はある家族6人のそれぞれの生活を6つ章「1雪虫 2子どもの神様 3ひとりしずか 4青葉闇 5雲の澪 6名の木散る」にわけて描かれています。

家族構成は、父の重之、母の志津子、長男の貢、次男の暁、長女の沙恵、次女の美希です。 志津子は後妻で、子供の上2人は前妻の、下の2人は後妻の志津子との間に出来た子になります。

この物語で印象に残っているのは長女の沙恵の話と父親の重之の話です。全体的に昔の事を回想している感じで綴られています。
まずは長女、沙恵の話です。この話は第三章、「ひとりしずか」で描かれています。

何故か男好きする沙恵は、幼児期に同居していた父の部下から性的虐待を受けたり、高校時代には犯されたりします。そして腹違いの兄の暁ともそういう関係になってしまいます。ただ、この二人は真剣に愛し合っていました。でも世間的にも認められない恋なので、いつか終止符を打つ時がきてしまいます。でも自分も兄がいるので不快感はありますね。同じ屋根の下で兄妹として育っている兄にも壁を乗り越えられてしまう沙恵の魅力が怖いというか、同情するというか、複雑な気持ちになってしまいます。

凄く嫌だったのは、父の部下です。部下といっても年配の大工さんで、子供達にとってはお爺さん的な存在でした。その人に一晩預かってもらった日に起こった事でした。お風呂で執拗に体を触られたり、寝る時はお爺さんの唾を飲むように強いられます。子供の頃の沙恵はお爺さんがどうしてこんな事をするのか理解できず、不快だけど、お爺さんに嫌われたくなくて受け入れました。大人に強く嫌だと言えない幼い沙恵に起こった不幸な出来事の描写が読んでいて怒り交じりの嫌悪感でいっぱいでした。

もう1つ強烈に印象に残っているのが、第六章、「名の木散る」での父、重之の話です。戦争中の体験を思い巡らせています。主に戦争中に兵士たちに「公衆便所」と呼ばれていた慰安婦の事です。兵士たちはそこに列をなし、一人の女性が何人もの兵士を相手にします。重之はそこで出会った慰安婦ヤエ子の事を思い出します。ヤエ子は朝鮮人で、日本軍に殺すと脅されて無理やり連行されました。重之はヤエ子に惹かれ、優しくしました。二人は心を通わせますが、ある日、重之が戦場から帰って来た時、ヤエ子はいませんでした。幼い少女が兵士に犯されたあげく命を奪われ、それを止めに入っていたヤエ子が狂ったように朝鮮語で兵士を罵りながらくってかかり、朝鮮語を止めないと殺すと言われても最後まで止めず、こちらも亡くなってしまったのです。

女性であるがゆえに受ける侮辱的、隷属的、恥辱的な扱い。当たり前ですが、こういうのが大嫌いです。自分も女性だから恐怖と怒りの入り混じった嫌な気持ちになります。

他の家族のストーリーもあるのですが、この物語で私が強烈に覚えているのがこの二つのストーリーです。女性だから感じる不快感が今でも忘れられない理由かもしれません。

 

従軍慰安婦問題

従軍慰安婦問題がニュースで再度取り扱われるようになったのは、慰安婦像の問題でしょうか。従軍慰安婦に対して政府は謝罪を表明し、アジア女性基金を立ち上げてサポートしたり、「償い金」の支払いもしているようです。

ニュースを見て、「星々の舟」に出てきた父親の話のことだと思いました。あれは本当に行われていたことで、ニュースになる位大規模に行われていたことなのだと、その時初めて知りました。戦争から遠のいた世代には「性的虐待を受けていた」と聞いてもピンとこない話だと思います。言葉で聞くより、あの小説を読んだ方が生々しく衝撃を受けるだろうと思いました。育児にかまかけて、ニュースを見てもチラッとしか映像を見ていなかったのですが、最近また話題になった慰安婦少女像を見て『え?あんな幼い子も慰安婦になっていたの?』と衝撃を受けました。

 

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日本人女性も従軍慰安婦に

朝鮮人だけではなく、色々な国の女性、日本人女性も連れていかれていたようです。城田すずこさんという元日本人慰安婦の回顧録がありました。

http://www.chinadaily.com.cn/world/2007-07/06/content_911759.htm

すずこさんは14歳の時に母親と死別し、その後父親が博打に走り、借金の肩に売春宿に売られます。父親は借金を重ね、すずこさんは今度は台湾の売春宿に売られました。その売春宿が旧日本軍専用だったため、彼女も慰安婦生活をすることになったのです。戦争中、慰安婦として連れられ、毎日性的虐待を受けました。慰安婦は亡くなったらジャングルに穴を掘られて葬られるだけで、家族に死亡通知もいきません。兵士の記念碑はあっても慰安婦たちの記念碑はないとすずこさんは嘆きました。戦後のすずこさんの生活も悲惨でしたが、晩年は「かにた婦人の村」という、社会から見捨てられた女性たちが安心して暮らせる婦人保護施設で過ごしました。

1986年にはすずこさんの希望もあり、慰安婦の為の慰霊碑、「噫従軍慰安婦」が建てられました。

 

「従軍慰安婦」について調べると、目を背けたくなる辛いお話が沢山出てきます。私には、慰安婦として暮らしていた方々に心を痛めることしか出来ませんが、多くの人が心を痛め、このような悲劇が二度と起こらないようにしたいと思うことが大事なのではないかと思います。

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One Response to “村山由佳のお勧め作品『星々の舟』紹介:従軍慰安婦の闇を知る”

  1. 感想 より:

    本の作品に出てくる慰安婦をそのまま事実として受け入れるのは、どうかと思います。
    私も読みましたが…歴史的な誤解があるように思いました。
    私達の情報は基本、韓国の言ってる事がまるで本当かのように言われています。
    確かに、そういう場所はありました。しかし、作品に出てくるように無理矢理連れ込んだ……果たしてそうでしょうか⁇
    私は自分なりに歴史を調べてきた上で書かせて感想を述べさせて頂きます。
    数多くの女性が、兵隊の相手をしていた事実はありますが強制的、奴隷ような扱いをされていたかは疑問が残ります。
    日本人の方の記事も…中国って書いてある時点で……まぁ信用はで出来ませんね。私も全く居ないとは言いません。酷い仕打ちを受けなかった女性が1人も居ないとは、言い切れませんから。しかし、韓国の主張や中国記事は…数が多すぎるし言ってる事はコロコロ変わるし矛盾や疑問点が多いのも事実です。
    第一、韓国の方々は日本の事を言う前にベトナム戦争時に自分達のしてきた行いを見直して欲しいなと個人的には思いますね。
    話しはそれましたが…村山由佳さんの書いてある小説を丸々信じるのは良くないですよ、と言いたいです。
    もちろん、このような悲しい歴史は繰り返してはいけないですけどね。

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