野心と野望、志の意味、英語表現の違いとは
野心と野望、志という言葉について
どのような印象を持っているでしょうか。
これらの言葉の意味の違いを考え、哲学すると、
人間として生きていく上でどうあるべきなのか、
について自分なりの基準が見えてくる。
かもしれませんよ。
野心と野望の意味
野心と野望という言葉は、かなり似ていると思います。
実際、その意味の定義としては
野心
１ ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み。野望。「政治家になりたいという―に燃える」「政権奪取の―をもつ」
２ 新しいことに取り組もうとする気持ち。「―作」
３ 野生の動物が人に馴れずに歯向かうように、人に馴れ服さず害を及ぼそうとする心。野望
分不相応な望み。また、身の程を知らない大それた野心。「世界制覇の―を抱く」
引用：goo 辞書
とされています。
共通点としては「野」の部分ですが、
これは「内に秘めた願望」という
意味の解釈ができます。
その「内に秘めた願望」の中でも、
野心の３の意味にあるような
相手に害を与えようとする概念が含まれています。
もちろん、この辺は
言葉の使い手がどういうニュアンスで
その言葉を使っているかが大事なのですが、
定義されている概念としては、
「身分不相応のよくない望み」ともありますし、
やはり明らかに悪い意味が含蓄されていますね。
ですから、独裁者やワンマン経営者
のようなイメージになるのでしょうか。
志の意味
それに対して志は、
様々な定義がありますが、
ある方向を目ざす気持ち。心に思い決めた目的や目標。
という意味は、
野心や野望に繋がります。
「内に秘めた願望」の部分です。
ただし、志という言葉の定義には
人に害を与えようとするような
悪い感情は含まれていません。
それどころか、逆に
相手を慕う気持ち。愛情。
という定義が含まれています。
これはちょっと意外でしたが、
同じ「内に秘めた願望」であっても、
明らかに野心や野望と真逆のニュアンスになってきますね。
この違いについて
言及している著名人もいたりします。
SBIホールディングスのCEO
でいらっしゃる北尾吉孝氏です。
SBIはソフトバンクから独立した
金融持株会社で、CEOは最高経営責任者ですが、
そんな輝かしい地位をお持ちの方が
このような言葉を残しています。
志は野心とは違います。
志は世のため、人のためという思いであり、野心は私利私欲です。
野心でなした事柄は一代ではかなく消えてしまいますが、
志は必ずそれを受け継いでくれる同志が現れます。
まさに、野心（野望）と志の定義の違いに言及しています。
《お勧め》
それぞれの英語表現
英語表現はどうでしょうか。
まず、
野心と野望は同じ単語で表現されます。
ambition（アンビション）
です。
これはストレートに野心・野望と訳されてますね。
また、
strong desire（ストロング デザイア）
でも表現されます。
直訳は「強い欲望」ですから、
「私利私欲」のニュアンスが
ちゃんと含まれていますね。
一方で志は
aspiration（アスピレーション）
という言葉が使用されますが、
これは
熱望・大望という意味で、
ambitionと似ています。
しかしながら、aspirationには
「私利私欲」的なニュアンスが
全く含まれていないとは言わないですが、
anbitionよりは支配的な響きはありません。
実際、志も言葉の使い手によっては
ambitionで表現されたりもするようですが、
言葉の定義としてはaspiration
の方が適切なので、この辺は
雑にならないようにした方が良いでしょうね。
anbitionという言葉は、
一歩間違えると悪い様に取られてしまう可能性があります。
「あまり性格が良くない奴」
として、悪い印象を与えてしまうかも知れません。
最重要なのは願望に対しての気持ちの持ち方
日本語にしても英語にしても、
相手に伝えるときの言葉の定義としての
理解はもちろんですが、実際自分の心の在り方が
どちら側なのかと考えることは本当に重要でしょうね。
というか、これが最高に重要な部分だと思います。
自分は、どちらの人間として生きたいのか。
しかしながら、自分は志型だと思っていても、
実は野心・野望型であったりするケースも多いのです。
北尾吉孝氏の言葉にも、
はき違えてしまっている人が
世の中にはたくさんいるから、
気を付けて欲しいという意図が
込められているように思います。
野心・野望での成功は周りを踏み台にするため、
奪う優先型であり、人を不幸にして自分が幸せになる気持ちが原動力。
だから成功しても最終的に孤独になる
志での成功は周りを支えるため、
与える優先型であり、人も自分も幸せになる気持ちが原動力。
だから成功しなくても本当の意味での人望がある
言葉にするのは簡単ですが、
なかなか人を支えながら、与えながら成功しよう
と考えると難しく感じてしまったりするかも知れません。
そこで結局、野心・野望方向、つまり
私利私欲に走る人も多いように感じられます。
確かに、志の成功より野心・野望による
成功の方が成功自体はし易いかも知れません。
しかしそれは本当の意味での成功には
ならないでしょう。
それに北尾氏は
「一代で終わる」と言及していますが、
それどころか
悪い評判も良い評判も一気に広がる、
インターネットが発達した現代では
長続きすらしないのではないかと私は思います。
